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2023.05.01
デジタルトランスフォーメーション(DX)とは?推進すべき理由や取り組み方を解説
目次
- デジタルトランスフォーメーション(DX)とは?
- デジタルトランスフォーメーションの定義
- いつから提唱され始めた?
- デジタルトランスフォーメーションを推進すべき理由
- 新しいビジネスが生まれる
- 古くなったシステムや慣習を一掃できる
- 自社サービスを刷新する機会になる
- デジタルトランスフォーメーション推進のリミットは2025年?!
- デジタルトランスフォーメーションへの取り組み方
- 経営層のコミットメントを経て戦略を固める
- テクノロジーだけでなくビジネスモデルそのものを変革させる
- システムの刷新にあたっては一貫性を意識する
- ITに精通した人材を確保・活用・育成する
- 経済産業省ではDX推進ガイドラインをまとめている
- デジタルトランスフォーメーションの成功事例
- まとめ
近年ではAIの発達や自動化など、さまざまな分野でデジタル化が進んでいますが、進化したテクノロジーは人々の生活に浸透させてこそ意味があります。そこで注目されているのが、「デジタルトランスフォーメーション(DX)」です。
本記事では、このデジタルトランスフォーメーションの定義から、推進すべき理由を解説していきます。「身近にデジタルトランスフォーメーションを応用できるものをみつけたい」と考えている方も、ぜひこの記事を参考にしてくださいね。
デジタルトランスフォーメーション(DX)とは?
デジタルトランスフォーメーションは、「Digital Transformation」の頭文字を取って、「DX」とも呼ばれています。まずはこのデジタルトランスフォーメーション(DX)の定義と、提唱された時期を理解しておきましょう。
デジタルトランスフォーメーションの定義
デジタルトランスフォーメーションの違いは、海外と日本とでは少し異なります。まず海外(欧米)では、マッキンゼーが以下のようにDXを定義しています。
“1.包括的なデジタル変革
2.顧客体験のデジタル化
3.オペレーションの弾力性
4.新規ビジネス構築
5.スキル再教育と組織能力構築
6.組織全体の敏捷性: アジャイルオペレーティングモデルの導入、必要な仕組みの構築
7.コアテクノロジーの近代化”
一方、2018年に経済産業省が発表しているデジタルトランスフォーメーションの定義は、以下のとおりです。
“企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジ タル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること。”
つまり、どちらもデジタル化や自動化の技術を活用して、ビジネス全般に変化をもたらすことを表しています。たとえば、進化したIT技術をいままでなかったサービスや製品などを生み出したり、従来の働き方をよりよく改善したりすることなどです。このように、デジタルフォーメーションはビジネスの根幹に変化を与えられます。
海外の場合は少しずつデジタル化の浸透が進みつつありますが、日本は世界の先進国と比べて遅れている傾向にあります。日本がデジタルフォーメーションを推進するには、経営陣の理解が不可欠でしょう。
いつから提唱され始めた?
このデジタルトランスフォーメーションは、2004年にエリック・ストルターマンが提唱しました。当時は、まだスマートフォンなども普及しておらず、「デジタルは大衆の生活を変化させる」という抽象的な概念や方法論として発表されました。しかし最近では、「デジタル化が進んだ現代にこそ必要な考え方だ」と、多くの企業から注目されています。
デジタルトランスフォーメーションを推進すべき理由
デジタル化が進みつつある現代において、デジタルフォーメーションへの取り組みは必要です。そこで、とくにデジタルトランスフォーメーションを推進すべき理由を3つ解説します。
新しいビジネスが生まれる
1つめの理由は、デジタル化の技術を使った新しいビジネスの誕生です。デジタルトランスフォーメーションを取り入れることで、既存事業を応用してさまざまなビジネスに展開できます。VODなどのサブスクリプション事業などが代表的です。
いままでは、顧客自身が店舗へ足を運んで、映画やドラマのDVDをレンタルしていました。しかし、現在ではサブスクリプションサービスの技術によって、自宅にいながら好きな作品を観られます。このように、既存ビジネスと最新のデジタル技術を融合させることで、新たなビジネスモデルを生み出すことが可能です。
古くなったシステムや慣習を一掃できる
2つめの理由は、既存システムそのものを作り替えられるからです。
会社の会議を例にしてみましょう。いままでは、社内の会議室で向かい合ってプレゼンや議論をすることが一般的でした。しかしデジタル技術を取り入れることで、「テレワーク」や「Web会議」などオンライン上で行われることが普通になっています。デジタル技術を仕事や生活に浸透させられれば、結果的に新しいニーズにもつなげられるでしょう。
自社サービスを刷新する機会になる
デジタルトランスフォーメーションを積極的に取り入れることで、マンネリ化した自社サービスをさらに改良できます。いい例として、インターネットショッピングサービスなどがあります。インターネットショッピングは、もともとオンラインで完結するサービスなのでそれだけでも便利です。
さらにAIなどの最先端技術を導入した場合、顧客の購入情報から購買意欲にあわせた商品を提案できる、パーソナルなサービスに刷新もできます。ここで注意していただきたいのが、ただのサービス改善だけではなく、文字どおり「トランスフォーメーション=形を変え進化させる」ことが重要という点です。
デジタルトランスフォーメーション推進のリミットは2025年?!
この「2025年がリミット」というキーワードが出てきたのは、経済産業省が発表した「2025年の崖」という問題が影響しています。2025年の崖のポイントは大きく2つです。
・既存システムが事業部ごとに固定されすぎて、社内データを共有できない
・DXを進めることで、既存システムの問題解決や業務体系の見なおしが必要になる
経営陣がデジタルトランスフォーメーションを導入しようとしても、既存のシステムが邪魔をしてデジタル化への移行がスムーズできないという状況です。また移行ができても、業務体系の見なおしなどが必要です。そのため、現場サイドに大きな負担をかけてしまうという懸念点もあります。
「2025年の崖」は、上記の問題点が解決されずデジタルトランスフォーメーションが実現できないと、「2025年以降、年間で最大12兆円の経済損失になる可能性がある」という深刻な問題です。
デジタルトランスフォーメーションへの取り組み方
ここでは、デジタルトランスフォーメーションへの取り組み方を具体的に解説します。先ほど述べた「2025年の崖」を避けるためにも、しっかりと取り組んでいきましょう。
経営層のコミットメントを経て戦略を固める
デジタルトランスフォーメーションをスムーズに推進させるためには、経営層のコミットメントが必要です。経営陣にデジタル化へのじゅうぶんな理解がないと、「とりあえずやってみよう」という根拠のない抽象的な方針になってしまいます。まずは、経営陣・執行役・現場の社員が、デジタル変革への重要性をしっかりと理解することが大事です。
テクノロジーだけでなくビジネスモデルそのものを変革させる
先ほども少し触れましたが、デジタルトランスフォーメーションは、単にテクノロジーを最先端にすればいいというわけではありません。新しいテクノロジーを取り入れつつ、既存のビジネスモデルそのものを進化させていくことがデジタルトランスフォーメーションの本質です。
システムの刷新にあたっては一貫性を意識する
デジタルトランスフォーメーションにおいて、「一貫性を意識する」という点がとくに重要になってきます。システムそのものが変わるため、「一部だけ既存システムを残そう」という気持ちになってしまいがちだからです。デジタル化に移行するのであれば、すべて一貫性をもって刷新するように心がけましょう。
ITに精通した人材を確保・活用・育成する
デジタルトランスフォーメーションによって、いままでよりもIT技術を全面的に活用していきます。そのため、既存システムを長年使っている社内の人間だけでは、スムーズなデジタル化は難しいでしょう。
そこで、ITに精通した人材を新たに確保したり、デジタル化にともなう研修などで社員を育成させたりといった行動が必要です。場合によっては、技術面に関して外部へ業務委託する選択肢もあります。
経済産業省ではDX推進ガイドラインをまとめている
上記で解説してきたデジタルトランスフォーメーションは、経済産業省が「DX推進ガイドライン」にて公式発表しています。デジタルトランスフォーメーションを推進するための経営のあり方や仕組み、ITシステム構築における体制やプロセスまで詳細に解説していますので、ぜひ本記事とあわせて参考にしてくださいね。
デジタルトランスフォーメーションの成功事例
最後にデジタルトランスフォーメーションの成功事例を、3つほどご紹介します。
・VODサービス
まず1つめは、本文中にも少し触れました「VODサービス」です。デジタル化の要素としては、定額課金のサブスクリプションサービスを導入している点と、「あなたへのおすすめ」という顧客データをもとに提示するパーソナル広告です。
上記のようなデジタル化によって、顧客は映画やドラマを観るために店舗へ足を運び、いちいち精算する必要もなくなりました。さらに自分の視聴データから自動的におすすめを選んでくれるという便利さもあります。
・ECサイト
2つは、「ECサイト」です。少しVODサービスと似た部分がありますが、デジタル化の推進によって従来よりもはるかに利用しやすくなっています。大手ECサイトでのデジタル化要素としては、「AIの導入」「アプリ導入による負担軽減」などです。
AIの導入については、顧客の購買状況と傾向をAIが分析をして、顧客が購入しそうな広告を表示させることで売り上げアップにつながっています。さらにほとんどの大手ECサイトは、スマートフォンアプリも同時に併用することにより、24時間365日どこにいても簡単に買い物ができるようなサービスに進化しました。
・無人コンビニ
最後は「無人コンビニ」です。日本ではまだそこまで普及していませんが、アメリカなどでは実際に稼働しているサービスです。通常のコンビニは、24時間営業で常にスタッフが常駐しています。一方で無人コンビニは、スタッフの代わりに無数のカメラが店内に設置されています。
消費者は、ただ欲しい商品をバッグに入れて店舗を出るだけです。商品はカメラによって検知され、会計はあらかじめ登録されたクレジットカードで自動決済される仕組みになっています。このようにデジタルトランスフォーメーションは、従来の既存システムを完全に作り変えられる技術といえますね。
まとめ
今回は、デジタルトランスフォーメーションについて解説しました。デジタル化はこれから必須になるものです。漠然と最先端技術を取り入れても意味はありません。重要なのは、事業全体の共通意識と一貫性です。
本文で解説したデジタルトランスフォーメーションへの取り組み方と、経済産業省が発表している「DX推進ガイドライン」を参考に、2025年の崖を乗り越えていきましょう。
早川 勉
デジメーション株式会社 シニア・アソシエイト
WEB広告代理店に入社し、主に西日本エリアのメディア担当として大手から地場企業までを広くサポート。アクセス解析やデータ活用を中心に効果改善を図る。